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第5 さくら葉に見る食文化の伝承
1 さくら葉畑とオオシマザクラ
伊豆半島のオオシマザクラは、色と形が良く、無毛で香りも良いこの葉は、昔から、桜餅や葛餅用に使われてきた。現在松崎町を中心に、この桜を山の畑で栽培し、その葉をつむ。川沿いの山の斜面に広がる桜畑は、作付面積は90ヘクタール以上、農家戸数は900軒にも及ぶ。伊豆半島のさくら葉生産は今、全国シェアの90パーセント以上であるといわれ、松崎町の特産品のひとつになっている。
2 さくら葉の収穫など
さくら葉の栽培に使われるのはオオシマザクラ。苗を植えてから2年目で葉がとれるようになる。5月から9月までが収穫期で、総生産量は50枚を1束にして960万束に及ぶ。昼間つみ取った葉を翌朝には業者に渡すため農家では晩のうちに束ね作業をする。葉の鮮度はおちやすく、束ねないと商品にならないので、どこの家でも、家族総出の夜なべ仕事が始まる。傷のない形の良い葉だけを選び、正確に50枚、大きさをそろえ、表を内側にして軽くタテに折り、漬けた時これと色が良く合う半日干しの茅葉でしばってカゴに並べてゆく。伊豆ではこの作業のことをまるけと呼んでいる。伊豆の桜葉産業は、長い間培われたまるけの伝統に支えられて今日まできた。
農家から束にして集荷されたさくら葉は、大・中・小の大きさに分けられ、半年から1年間にわたって塩漬けされる。漬け込む樽は直径2メートル、高さ2.5メートルの大きなもので、1樽に150万枚のさくら葉を入れるという。こうしてできあがった特産のさくら葉漬けは大都市をはじめ、漬け物が盛んな京都などの各地に送り出

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